[Top page] [日刊 研究最前線 知尋] [Discovery Saga総合案内] [大学別アーカイブス] [Discovery Saga会員のご案内] [産学連携のご案内] [会社概要] [お問い合わせ]

筑波大学 研究Discovery Saga
2025年6月6日

マウスの第三者に対する攻撃性は「誰に挑発されるか」で決まる

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
持続可能/持続可能な開発/マウス
医療・健康


(Image by Egoreichenkov Evgenii/Shutterstock)

概要

誰かに悪意ある態度をとられると、攻撃的な気持ちになります。雄のマウスも同じように、相手に挑発されると、いつもよりも攻撃が激しくなります。ただし、その強さは誰に挑発されるかによって異なり、知らない相手や、まだ勝ち負けが決まっていない相手に対してだけ攻撃性が増すことを見いだしました。
 誰かにイヤなことをされた後、関係のない人に八つ当たりしてしまうというような行動は、マウスの世界でも見られます。雄のマウスは、自分のなわばりにライバルの雄が入ってくると攻撃しますが、ライバル雄を透明なカゴに入れて提示すると、見えているのに攻撃できない、という状況になり興奮が高まります。これを「社会的挑発」と呼びます。このあと、別のマウスをなわばりに入れると、興奮した雄マウスはその相手に対していつもより激しく攻撃します。
 では、どうして攻撃が激しくなるのでしょうか。攻撃したいのに攻撃できないという欲求不満で、誰でもいいから攻撃してしまうのか、それとも相手を見て判断しているのでしょうか。
 本研究では、透明なカゴの中に入れる相手をいろいろ変えて、雄マウスの行動を調べました。すると、これまで会ったことがないマウスや、何度も顔は合わせているけれど戦ったことのないマウスを見たときだけ、攻撃が激しくなることが分かりました。逆に、いつも勝っている相手や、負けたことのある相手を見せたときには、攻撃は増えませんでした。つまり、マウスはただイライラしているのではなく、「相手が誰か」を見て、攻撃レベルの調整をしているのです。
 この発見は、動物がどのように相手を見分けて行動を考える上で、とても重要です。今後はこの仕組みが生じる脳の働きを調べ、攻撃性のメカニズムをさらに明らかにしていきます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学人間系
高橋 阿貴 准教授

掲載論文

【題名】
Aggression Is Not Blind: Dominance and Social History Modulate Murine Responses to Social Instigation.
(攻撃は盲目ではない:優劣関係と社会的関係が社会的挑発への応答にかかわる)
【掲載誌】
Psychopharmacology
【DOI】
10.1007/s00213-025-06824-9

関連リンク

人間系