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京都大学 研究Discovery Saga
2025年5月19日

太陽活動とシンクロする海面高度変動

―11年周期の太陽サイクルに合わせて、海と陸の間で水が動いていた―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域環境学数物系科学工学農学
【Sagaキーワード】
海面上昇/フラックス/海洋/エルニーニョ/気候変動/水蒸気/地球観測/衛星/衛星観測/太陽/太陽活動/動特性/熱膨張/水資源/水循環/資源管理
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

太陽活動が活発な時期(太陽表面の黒点数が多くなるフェーズ)に、全球平均でみた海面高度は上昇する傾向があります。これは太陽放射の全波長のエネルギー(全放射フラックス)変動の変化による海水の熱膨張では量的に説明できないことが知られており、そのメカニズムは不明でした。
 山敷庸亮 総合生存学館教授、John Philip Matthews 名誉教授(Environmental Satellite Applications博士)、増田周平 海洋研究開発機構上席研究員は、利用可能な長期の地球観測データを調べ、パーマー干ばつ深刻度指数(PDSI)と呼ばれる陸水の多寡に関する指数が11年の周期の太陽活動と同期していることを発見しました。このことから、観測される太陽周期の海面変動は、海洋と陸域の水の移動によって引き起こされていることが示唆されます。この定性的な変動特性を、約30年間の精密な衛星観測データ(高度計のデータ、および重力場測定衛星による、陸域の水分貯蔵量のデータ)で確認したところ、定量的にも整合的な結果が得られました。
 これらの水の移動が太陽活動の変化とどう関係しているかを約160年間の歴史的データセットを用いて調べたところ、エルニーニョ南方振動(ENSO)の振る舞いが太陽活動の活発さに依存しており、その結果降水パターンに変動がもたらされ、陸上の水分貯蔵量に影響を与えることが統合的な解析により確認されました。
 これにより、太陽活動の周期変動が地球の水循環に明確な影響を与えていることが理解され、海面変動のメカニズムに新たな視点が加わりました。この研究成果は、過去および未来の全球平均海面の変動に関する動態の理解を深める重要な一歩となり、気候変動や海面上昇、水資源管理における重要な情報を提供します。
 本研究成果は、2025年5月16日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。
全球平均した陸域の貯水量と平均海面水位との関係の模式図。 11年周期の太陽活動変動にともない、活動が活発な時には陸域の降水量が少なく(海洋から陸域への水蒸気輸送が相対的に少なく)、陸域の貯水量が減少し、全球平均海面水位が上昇する(A、B)。太陽活動が減退している時期は逆の挙動を示す(C、D)。
研究者のコメント 「太陽活動と海洋がどのようにシンクロしているかについては、従前からさまざま伝えられていたが、それが本当かどうか2015年に疑問をもって10年来、世界で最も高解像度かつ長期間の海洋データを有する海洋研究開発機構の増田氏とともに解析を続けてきたが、ようやく客観的な証拠を捉えることができ、論文という形で第一報の公表ができることとなった。さらなる証拠の提示を目指して研究を進めてゆきたい。」 (山敷庸亮)

詳しい研究内容について

太陽活動とシンクロする海面高度変動―11年周期の太陽サイクルに合わせて、海と陸の間で水が動いていた―

研究者情報

研究者名 山敷 庸亮
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 MATTHEWS JOHN PHILIP Researchmap

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41598-025-99880-2

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/294151

【書誌情報】
Shuhei Masuda, John Philip Matthews, Yosuke Alexandre Yamashiki (2025). Origin of the solar-cycle imprint on global sea level change.Scientific Reports, 15, 16770.

関連部局

総合生存学館(思修館)