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名古屋大学 研究Discovery Saga
2025年5月16日

"引き裂かれる銀河"に広がる二方向の星の波

~セファイド変光星が明かす、小マゼラン銀河のカオスな内部運動~

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学
【Sagaキーワード】
相関係数/カオス/衛星/銀河/大質量星/天文学/変光星/シミュレーション

数物系科学
2025.05.16
セファイド変光星
理学研究科
立原 研悟
銀河
Gaia衛星
宇宙・天文学
小マゼラン雲
中野 覚矢

名古屋大学大学院理学研究科の 中野 覚矢 博士後期課程学生、立原 研悟 准教授は、小マゼラン銀河のセファイド変光星が異なる二方向に広がって動くことを発見しました。
セファイド変光星と呼ばれる種類の星は、その星までの距離を正確に計算できます。本研究では、天の川銀河の隣に位置する小マゼラン銀河において、距離に応じたセファイド変光星の動きを研究しました。その結果、小マゼラン銀河内部で私たちに近い星は北東に、遠くの星は南西に向かって互いに遠ざかるように動いていることが明らかになりました。
一方で、セファイド変光星には、大質量星で発見された北西と南東で逆向きの動き(以前のプレスリリース)も見られました。この動きは、小マゼラン銀河が南東に位置する大マゼラン銀河によって引き裂かれていると解釈されます。特に、セファイド変光星の奥行き方向の速度は、小マゼラン銀河の南東ほど速く、北西ほど遅くなっています。
本研究で新たに発見された小マゼラン銀河の近い星と遠い星の逆向きの動きは、小マゼラン銀河の“引き裂かれる”方向とは異なる方向を向いています。また、セファイド変光星の距離と奥行き方向の速度はほぼ無関係(相関係数がほぼ0)でした。この結果は先行研究のシミュレーションによって得られていた予想を覆すもので、小マゼラン銀河は大マゼラン銀河に北西-南東方向に引き裂かれるだけでなく、さらに異なるメカニズムで北東-南西に引き伸ばされていることが示唆されました。
本研究成果は、米国の学術雑誌 『The Astrophysical Journal Letters』 に2025年5月16日午前0時(日本時間)付で掲載されます。
 

発表のポイント

・ 天の川銀河の隣にある小マゼラン銀河のセファイド変光星の動きを研究し、私たちに近い星が北東に、遠い星が南西に動いていることを発見した。
・ セファイド変光星には北西と南東に向かう小マゼラン銀河を引き裂く動きも見られ、南東の大マゼラン銀河による影響と解釈される。
・ 新たに発見された近い星と遠い星の逆向きの動きは、引き裂かれる向きとは異なる方向であり、小マゼラン銀河はさらなる未知の原理で引き伸ばされていると分かった。
 
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
 

論文情報

雑誌名:The Astrophysical Journal Letters
論文タイトル: Dual Directional Expansion of Classical Cepheids in the Small Magellanic Cloud Revealed by Gaia DR3
著者: NAKANO Satoya and TACHIHARA Kengo
DOI:10.3847/2041-8213/adce0b
 

研究代表者

大学院理学研究科 立原 研悟 准教授,主著者:中野 覚矢 博士後期課程学生
https://www.a.phys.nagoya-u.ac.jp/jp/