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東北大学 研究Discovery Saga
2025年5月16日

PTFEのマテリアル・リサイクル法の提案

-塩との混合で、強固な分子鎖集合をゆるませることに成功-

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学化学総合理工工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
物質科学/X線回折/赤外分光/赤外分光法/持続可能/持続可能な開発/フッ素/ポリマー/リサイクル/熱分解/半導体/エチレン/炭化水素/SPECT/ナトリウム/日常生活/分子集合
2025年5月15日 15:00

研究者情報

〇多元物質科学研究所 教授 加納純也
研究室ウェブサイト

発表のポイント

ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をリサイクルする手法を新規に提案。
PTFEとNaClをボールミリングすることで、PTFEの強固な分子集合をほどくことに成功。
安価なNaClによる、PTFEをはじめとしたフッ素ポリマーの安全循環に寄与。

発表概要

東京科学大学(Science Tokyo) 理学院 化学系の火原彰秀教授、西村祥吾大学院生、仙波祐太学部生、京都大学 化学研究所 環境物質化学研究系の長谷川健教授、大貫友椰大学院生、東北大学 多元物質科学研究所の加納純也教授、Li Yao大学院生らは、従来困難であったポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の新しいマテリアル・リサイクル法(用語1)を提案しました。
代表的なフッ素ポリマーであるPTFEは、撥水撥油材料として日常生活器具や、半導体加工現場で利用されています。PTFEは、有機フッ素鎖の特徴である強い分子鎖集合を持つため、化学的に安定で耐摩耗性や耐腐食性があり有用ですが、加工やリサイクルが難しい特徴も持っています。本研究では、安価な材料として塩化ナトリウム(NaCl)を用い、PTFEとNaClの混合粉末を乾式ボールミリング(用語2)により、PTFEの分子鎖集合をほぐす・ゆるめることのできる手法を提案しました。分子鎖集合がほどける様子をX線回折法や赤外分光法により明らかにするとともに、分子鎖集合がほどけることがリサイクル過程につながることを、処理粉末の固体ペレット焼結により実証しました。炭化水素系の材料に比べると量は少ないですが、フッ素関連化合物を取り巻く社会状況を考えるとリサイクル法に対する需要は潜在的に高いと言えます。本発表は、熱分解などのケミカル・リサイクル(用語3)に比べ、エネルギー的観点から原理的に有利ではありつつ、従来検討されてこなかったマテリアル・リサイクル法を提案するものです。
本研究成果は、リサイクル法について4月28日付の「Bulletin of the Chemical Society of Japan」、リサイクル法の作用機序について4月17日付の「Journal of Physical Chemistry B」に掲載されました。

図1 従来のPTFEリサイクル法と提案するPTFEマテリアル・リサイクル法の概略。論文1より引用。

用語解説

(1)テリアル・リサイクル法:材料を化学的に分解せず、主に機械的操作により再利用する方法。
(2)ボールミリング:円筒形容器にボールと粉体を入れ、その容器を回転させることにより、機械的に粉体にエネルギーを与える方法。
(3)ケミカル・リサイクル:材料を化学的に分解して原料として再利用する方法。

論文情報

(リサイクル法について 論文1)
掲載誌:Bulletin of the Chemical Society of Japan
論文タイトル:Mechanochemical processing of polytetrafluoroethylene with NaCl crystals
著者:Shogo Nishimura, Yao Li, Yuta Semba, Akihide Hibara, Tomoya Oonuki, Takeshi Hasegawa, and Junya Kano
DOI:10.1093/bulcsj/uoaf029
(リサイクル法の作用機序について 論文2)
掲載誌:Journal of Physical Chemistry B
論文タイトル:Molecular Disaggregation Process of PTFE Using Sodium Chloride: A Study by Infrared Spectroscopy
著者:Tomoya Oonuki, Taisuke Araki, Takayuki Oka, Hiroshi Matsuda, Nobutaka Shioya, Junya Kano, Akihide Hibara and Takeshi Hasegawa
DOI:10.1021/acs.jpcb.5c01148

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所
教授 加納 純也(かのう じゅんや)
TEL:022-217-5135
Email:kano*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所 広報情報室
TEL: 022-217-5198
Email:press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)


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