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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年5月2日

体細胞と生殖細胞の新たな連絡様式を多足類の卵巣から発見

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
生殖/卵母細胞/持続可能/持続可能な開発/電子顕微鏡/生殖細胞/卵巣/基底膜/細胞生物学/上皮細胞
生物・環境
(C)Chikami Yasuhiko

概要

ムカデの仲間のゲジ(ゲジゲジ)など多足類の卵巣を電子顕微鏡で詳細に観察し、体細胞が、一般的に細胞間の接触を妨げるはずの基底膜を貫通して卵母細胞と直接接触していることを発見しました。動物で、通説では考えられなかった様式により体細胞と生殖細胞が相互作用していること示唆する成果です。
 動物の体や器官を覆う上皮細胞は、自由に他の細胞と接触したり物質を取り入れたりする頂端側と、その反対側にあって、基底膜と呼ばれる「壁」に裏打ちされて他の細胞との接触が妨げられる基底側という方向性(極性)をもつのが一般的です。例えば、多くの動物の卵巣において、その表面に密に並ぶ濾胞(ろほう)濾胞細胞(上皮細胞の一種)は頂端側で卵のもととなる卵母細胞と直接に接触し卵の形成に関与する一方で、基底側では基底膜により他の細胞との接触が妨げられています。
 動物学におけるこの常識に対して、本研究ではゲジとナミコムカデという2種の多足類において卵巣濾胞細胞は他の動物とは異なり基底側で卵母細胞に面すること、そして基底膜を突き破って細胞質突起を伸ばし卵母細胞と物理的に接触することを発見しました。さらに、濾胞細胞-卵母細胞間の連絡は卵形成過程で基底膜が形成される以前に確立されていたことを示す証拠を得ました。
 本研究成果は、基底膜が必ずしも体細胞と生殖細胞を隔てる壁とはならず、また上皮細胞自身が基底膜を貫通して他の細胞と直接連絡するという、動物学並びに細胞生物学の定説とは異なる新たな現象の存在を示唆しています。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

静岡大学 理学部/研究当時:筑波大学 生命環境科学研究科 生物科学専攻 (博士前期課程)
千頭 康彦 日本学術振興会特別研究員

筑波大学 生命環境系
八畑 謙介 講師

掲載論文

【題名】
Soma-germ contact across basement membrane in ovary
(基底膜を横断する卵巣での体細胞と生殖細胞の接触)
【掲載誌】
Biology Letters
【DOI】
https://doi.org/10.1098/rsbl.2025.0056

関連リンク

生命環境系
生命環境科学研究科