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京都大学 研究Discovery Saga
2025年4月25日

細胞内タンパク質複合体の分子構成をナノスケールで可視化する革新的手法

―多種のタンパク質で構成される分子複合体の実体が明らかに―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学工学総合生物農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
タンパク質複合体/ナノスケール/超解像/超解像顕微鏡/マッピング/EGFR/血清/成長因子/プローブ/受容体/抗体
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

木内泰 医学研究科准教授(現:同特定准教授)、渡邊直樹 生命科学研究科教授(兼:医学研究科教授)、Dimitrios Vavylonis 米国リーハイ大学(Lehigh University)教授らの研究グループは、細胞機能を担うタンパク質複合体を可視化するため、抗血清から作製した超解像顕微鏡法IRIS用プローブと画像解析PC-coloringを開発し、8つの内在性タンパク質の分子局在とそれらの分子複合体の分布を明らかにしました。
 内在性タンパク質の抗体染色において、標的分子に結合した抗体は、その大きさ(12 nm)に起因して、その近傍の分子への抗体の接近を空間的に妨害します。この不完全な標識が、複数の分子で構成される複合体の超解像可視化を難しくしていました。超解像顕微鏡法IRISは、標的に結合解離するプローブを用いて、多数のプローブの結合(標識)と解離によって空間的に妨害されない高密度標識と、さらにプローブ交換によって連続多重染色を実現しています。本研究では、抗血清由来の結合解離プローブによる8種の内在性タンパク質の可視化と、それらの分子局在を定量解析する新手法PC-coloringによる分子複合体のマッピングを可能にしました。
 その結果、膜受容体を細胞内に取り込む分子装置であるクラスリン被覆部位の縁で、上皮成長因子受容体(EGFR)を外側に配置した層状の分子複合体を発見しました。これは、EGFRをクラスリン被覆部位へリクルートする分子複合体の構成を示唆しています。今後、本研究手法によって、細胞内の様々な分子複合体の実体が明らかになることが期待できます。
 本研究成果は、2025年4月23日に、国際学術誌「Structure」にオンライン掲載されました。 研究者のコメント 「多種多様なタンパク質によって自律制御される細胞は、驚異的であり、そのシステムの原理を明らかにすべく研究を行っています。IRISで得られる超解像の写真は、内在性タンパク質の織り成す造形の美しさと複雑さに満ち溢れています。IRISは長時間の撮影が必要ですが、この誰も見たことのないナノの世界を堪能できます。」(木内泰)

詳しい研究内容について

細胞内タンパク質複合体の分子構成をナノスケールで可視化する革新的手法―多種のタンパク質で構成される分子複合体の実体が明らかに―

研究者情報

研究者名 木内 泰
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 渡邊 直樹
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.str.2025.03.012

【書誌情報】
Tai Kiuchi, Ryouhei Kobayashi, Shuichiro Ogawa, Louis L.H. Elverston, Dimitrios Vavylonis, Naoki Watanabe (2025). Laminar organization of molecular complexes in a clathrin coat revealed by nanoscale protein colocalization.Structure.

関連部局

医学部・医学研究科 生命科学研究科