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京都大学 研究Discovery Saga
2025年4月18日

湖と海で環境DNAの拡散距離は異なる

―生物多様性調査に向けた環境DNAの"生態"の解明―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学環境学工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
情報学/海洋/湖沼/モニタリング/動特性/環境DNA/生物多様性/非侵襲/標準化
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

環境DNA技術は、生物の分布や組成を水中に漂うDNA情報から推測できるため、非侵襲的かつ省コストな生物多様性の調査手法として近年世界中で有望視されています。環境DNAは水の流れや重力に沿って移動するため、その拡散範囲や沈降速度の理解が重要です。しかしながら、湖沼や海洋ではこうした移動特性の知見が乏しく、生物分布をどの程度の空間解像度で反映できるかは分かっていませんでした。
 そこで、相馬寿明 情報学研究科特定研究員(兼:同日本学術振興会特別研究員(PD))、村上弘章 東北大学助教、中臺亮介 横浜国立大学講師の研究グループは、湖沼と海洋での環境DNAの移動拡散に関するこれまでの文献を収集し再解析することで、湖沼に比べて海洋では環境DNAが10-100倍程度拡散されやすいことを示しました。この結果は、環境DNAが湖沼では局所的な生物分布、対して海洋では広範囲の生物分布を反映することを意味しており、それぞれの系における生物多様性モニタリングのための採水調査デザインを立案する上での重要な示唆をもたらすことが期待されます。
 本研究成果は、2025年4⽉15⽇に、国際学術誌「Ecological Indicators」にオンライン掲載されました。
本研究に基づく、湖沼と海洋の間での環境DNAの拡散距離および空間解像度の違い(作成:相馬寿明)
研究者のコメント 「日本国内では2018年に一般社団法人環境DNA学会が設立されて以来、環境DNA技術の標準化に向けた取り組みが進められています。一方で、環境DNAの放出後動態やその拡散の空間スケールがよく分かっていないために、採水地点の間隔などのサンプリング戦略の策定にはほとんど言及できていませんでした。私たちの今回の研究結果は、まだ不完全ではありますが、環境DNAサンプリングにおける具体的な一つの『基準』を作ることに大きく貢献できたのではないかと自負しています。」(相馬寿明)

詳しい研究内容について

湖と海で環境DNAの拡散距離は異なる―生物多様性調査に向けた環境DNAの"生態"の解明―

研究者情報

研究者名 Toshiaki Jo ORCID

関連部局

情報学研究科