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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年4月9日

貝殻をつくる細胞の発生運命は自律的に定まることを解明

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学生物学工学総合生物農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
軟体動物/カタツムリ/胚発生/持続可能/持続可能な開発/一細胞/アサリ/二枚貝/遺伝子発現解析/受精/受精卵/内胚葉/発現解析/トランスクリプトーム/遺伝子/遺伝子発現
生物・環境

概要

 軟体動物の貝殻をつくる細胞の発生運命(将来どのような組織になるか)について、緻密な割球単離培養の技術と遺伝子発現解析により検証しました。その結果、巻貝の貝殻をつくる細胞の発生運命は、これまで考えられていたような他の細胞系列からの誘導によらずに定まることが分かりました。
 軟体動物では、アサリのような二枚貝やカタツムリのような巻貝のように、多様な貝殻の形が見られます。このような貝殻の形成プロセスを理解するためには、貝殻をつくる細胞が胚発生の過程で分化する仕組みを理解することが不可欠です。しかし、貝殻をつくる細胞の発生には多くの不明な点や矛盾する議論があり、実験的な検証が求められていました。
 本研究では、巻貝の一種であるクサイロアオガイを使って、胚の発生過程で貝殻を作る細胞について詳しく調べました。まず、1細胞ごとのトランスクリプトーム解析と、遺伝子発現解析により、貝殻をつくる細胞が大きく3つのタイプに分けられることを明らかにしました。また、それぞれの細胞で働いている特徴的な遺伝子のグループを特定しました。さらに、将来貝殻をつくる細胞を形成する割球(受精卵が分割したもの)を、他の細胞から切り離した状態で培養したところ、上記の3つの細胞タイプの発生運命(将来どのような組織になるか)は、いずれも、他の細胞集団と接さずとも定まることが分かりました。貝殻をつくる細胞の運命は、従来の仮説では、内胚葉等の細胞との相互作用に依存すると考えられていましたが、本研究により、そうした相互作用を伴わずに特異化されることが明らかになりました。今後、貝殻をつくる細胞の発生運命が他の細胞系列との相互作用無しに決まる仕組みや、進化の過程におけるそれらの細胞の働き方の変化を明らかにし、軟体動物、ひいては動物が多様な形態を創出してきたプロセスの理解を目指します。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学 生命環境系
守野 孔明 助教

掲載論文

【題名】
Characterization of shell field populations in gastropods and their autonomous specification mechanism independent of inter-quartet interactions.
(腹足類における貝殻形成細胞の特徴づけと、カルテット間相互作用に依存しない自律的な特異化機構)
【掲載誌】
Development
【DOI】
10.1242/dev.204538

関連リンク

生命環境系