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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年4月9日

海馬の神経細胞は超低強度から高強度運動まで、強度依存的に活性化する

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
運動処方/健康増進/運動プログラム/持続可能/持続可能な開発/スポーツ/スポーツ医学/トレッドミル/ラット/歯状回/神経細胞/海馬/高齢者/生理学/認知症
医療・健康

概要

(Image by NDAB Creativity/Shutterstock)
 健康増進を目的した運動処方では中〜高強度の運動継続が一般的です。本研究では、記憶に関わる海馬の神経細胞が超低強度運動でも活性化し、高強度運動まで強度依存的に活性化することを示しました。本研究チームのこれまでの報告を裏付け、誰もが馴染みやすい運動プログラムの推進に寄与する成果です。
 運動が海馬と呼ばれる脳の部位を刺激し、記憶力を高めるという報告が増え、認知症予防の観点からも注目されています。健康増進を目的とした運動処方では、多くのガイドラインで中〜高強度の運動が推奨されていますが、全ての年齢層・体力レベルの人々が実施・継続しやすいものとは限りません。このため、本研究チームは「低強度」や「超低強度」に分類される軽い運動に着目し、こうした運動でも海馬機能を向上できることを明らかにしてきました。一方、この有効性の裏付けとなり、運動処方の指針として参照されるような、運動強度に応じた海馬活性化の動態については、これまで詳細に検討されてきませんでした。
 そこで本研究チームは、ヒトで広く採用されるアメリカスポーツ医学会による運動処方ガイドラインが分類する強度(超低強度・低強度・中強度・高強度)に基づいたラットのトレッドミル運動モデルを作製し、運動強度と海馬の神経細胞活性化との関係を調べました。その結果、海馬神経細胞は運動強度の増加に応じて活動が増加し、「低強度」に分類される運動でも活性化できることが確認されました。さらに、海馬を構成する歯状回とCA1と呼ばれる領域では、それを下回る「超低強度」の運動でも活性化が見られました。
 以上の結果から、「超低強度」を活性化の最小運動強度として、海馬の神経細胞が強度依存的に活性化する特徴が明らかになりました。これは、海馬をターゲットとした運動処方のガイドラインの基礎資料となる成果です。また、本研究の結果は、軽い運動でも海馬の機能向上に有効である、という本研究チームのこれまでの知見を支持するものです。高齢者や低体力者でも馴染みやすい軽運動を基盤とした運動プログラムの推進に寄与することが期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学サイバニクス研究センター
征矢 英昭 客員教授

掲載論文

【題名】
Very-light-intensity exercise as minimal intensity threshold for activating dorsal hippocampal neurons: Evidence from rat physiological exercise model
(背側海馬神経細胞を活性化する最小強度閾値としての超低強度運動:ラットの生理学的運動モデルから得られた証拠)
【掲載誌】
Biochemical and Biophysical Research Communications
【DOI】
10.1016/j.bbrc.2024.151243

関連リンク

サイバニクス研究センター