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東北大学 研究Discovery Saga
2025年3月26日

高齢マウスで精子幹細胞の働きが変化

―精子を作らない細胞が増え、動きながら精巣内に広がる―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
クローン/生殖/持続可能/持続可能な開発/ウシ/精巣/マウス/幹細胞/蛍光標識/精子/加齢
2025年3月26日 11:00 |プレスリリース・研究成果

研究者情報

〇大学院農学研究科
准教授 原 健士朗
researchmap

発表のポイント

  • 高齢マウスの体内で、精子のもととなる「精子幹細胞」が、増殖・遊走しながら生存する様子を捉えることに成功しました。
  • 加齢により、一部の精子幹細胞が精子を作らなくなり、その子孫細胞が精巣内で勢力を拡大することが示唆されました。
  • この現象により、精子を作る精子幹細胞が本来利用すべき精巣内の空間が占有され、加齢に伴う精子数の減少につながる可能性があります。
  • 本成果は、加齢による精子減少の仕組み解明に貢献するものであり、高齢男性の不妊治療や、優良な種雄ウシの繁殖能力維持といった、医学・農学分野での応用が期待されます。
  • 発表概要

    近年、高齢出産の増加に伴い、男性では加齢による精子数の減少が課題となっています。精子のもととなる「精子幹細胞」は、増殖・遊走しながら精子を作る重要な細胞です。しかし、その働きが加齢とともにどのように変化するのかは不明でした。
    東北大学大学院農学研究科の原健士朗准教授らの研究グループは、高齢マウスの精子幹細胞が、増殖・遊走しながら生存している一方で、一部が精子を作らなくなり、その子孫細胞が精巣内で勢力を拡大することを見出しました。この現象により、精子を作る幹細胞が利用すべき精巣内の空間が占領され、加齢時の精子数の減少につながる可能性が考えられます。
    本研究成果は2025年2月22日に国際学術誌Aging Cellオンライン版に掲載されました。

    図1. 精子幹細胞(GFRα1+細胞)にGFPの蛍光標識を入れた後、3-4か月の間に増殖と分化を繰り返して拡大したクローン領域の2例。左のタイプ1は精子まで分化する精子幹細胞クローン領域が拡大した様子、右のタイプ2は精子まで分化しない幹細胞クローン領域が拡大した様子を示します。それぞれの上段はクローン領域の全体像、下段はクローン領域の断面に核染色(Hoechst染色)を施した像を示します。精子細胞まで分化する精子幹細胞クローンでは精子細胞の存在領域(白い点線で囲った領域)までGFP陽性細胞(緑)が観察されたのに対し、精子まで分化しない精子幹細胞クローン領域では白い点線で囲った領域内にGFP陽性細胞が観察されませんでした。以上の結果より、加齢精巣には、精子を作る精子幹細胞の他に、精子を作らない精子幹細胞が存在し、そのクローンは勢力(存在領域)を拡大することが示されました。

    論文情報

    タイトル:Age-Dependent Clonal Expansion of Non-Sperm-Forming Spermatogonial Stem Cells in Mouse Testes
    著者: Terumichi Kawahara, Shinnosuke Suzuki, Toshinori Nakagawa, Yuki Kamo, Miki Kanouchi, Miyako Fujita, Maki Hattori, Atsuko Suzuki, Kentaro Tanemura, Shosei Yoshida, *Kenshiro Hara
    *責任著者:東北大学大学院 農学研究科 准教授 原 健士朗
    掲載誌:Aging Cell
    DOI:10.1111/acel.70019.

    詳細(プレスリリース本文)

    問い合わせ先

    (研究に関すること)
    東北大学大学院農学研究科
    動物生殖科学分野
    准教授 原 健士朗(はら けんしろう)
    TEL: 022-757-4306
    Email: kenshiro.hara.b6*tohoku.ac.jp
    (*を@に置き換えてください)
    (報道に関すること)
    東北大学農学研究科
    総務係
    TEL:022-757-4003
    Email: agr-syom*grp.tohoku.ac.jp
    (*を@に置き換えてください)


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