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京都大学 研究Discovery Saga
2025年3月11日

量子の世界で「ゆらぎ」の限界に迫る

―量子システムの精度と応答に関する新しい法則を発見―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
量子計算/コヒーレンス/開放量子系/熱機関/非平衡/不確定性関係/量子コヒーレンス/エネルギー消費/熱力学/性能評価/不確定性/ゆらぎ
この研究の主な対象者 企業・研究者の方 公開日

概要

Vu Tan Van 基礎物理学研究所准教授らの研究グループは、量子システムにおける精度・応答・エネルギーコストの関係について、新たな限界を理論的に導きました。これまで古典的なシステムでは、精度を高めるにはそれに見合うエネルギーコストが必要になる「熱力学的不確定性関係」が知られていましたが、本研究では、量子コヒーレンスなどの量子特有の性質を考慮することで、量子系ではこの関係が修正されることを明らかにしました。さらに、観測量のゆらぎに対する上限(逆不確定性関係)や、外部からの摂動に対する応答感度の上限(応答の不確定性関係)を新たに導き、量子システムに共通する基本的な制約を示しました。本研究は、量子熱力学の基礎を築くとともに、量子熱機関や量子計算など、量子技術の設計や性能評価にも新たな視点を提供するものです。今後、より複雑な量子システムへの理論的な拡張や、実験データとの検証を通じて、量子システム全般に通じる普遍的な原理の確立につながることが期待されます。
 本研究成果は、2025年3月6日に、国際学術誌「PRX Quantum」にオンライン掲載されました。また、同誌の優秀論文特集「International Year of Quantum Science and Technology (IYQ 2025) Collection」に選ばれました。
マルコフ型の開放量子系では、システムの時間的な変化に伴って得られる観測量のゆらぎ(精度)や、外部からの刺激に対する応答のしやすさ(応答感度)が、エネルギー消費(熱力学的コスト)によって制約を受ける。
研究者のコメント 「量子システムにおけるゆらぎや応答に対する新たな基本的限界を示すことができました。特に、量子コヒーレンスとエネルギーコストがどのように精度向上に関わるのか、また応答とコストの間にどのような定量的な関係があるのかを明らかにできたことを嬉しく思います。まだ検討すべき課題は多く残されていますが、非平衡量子系における普遍的な法則を探るための一つのステップになれば幸いです。」(Vu Tan Van)

詳しい研究内容について

量子の世界で「ゆらぎ」の限界に迫る―量子システムの精度と応答に関する新しい法則を発見―

研究者情報

研究者名 Vu Tan Van
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1103/PRXQuantum.6.010343
  【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/292355

【書誌情報】
Tan Van Vu (2025). Fundamental Bounds on Precision and Response for Quantum Trajectory Observables.PRX Quantum, 6, 1, 010343.

関連部局

基礎物理学研究所