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広島大学 研究Discovery Saga
2025年3月6日

【研究成果】急性期脳梗塞を発症した患者を合成MRIで測定したところ脳のミエリン量が多いほど予後が良好であることが分かりました

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
トラスト/データ収集/膜構造/神経内科学/髄鞘/グリア細胞/日常生活/予後予測/リハビリ/多発性硬化症/MRI/グリア/神経細胞/脳梗塞/リハビリテーション/脂質/脳卒中/放射線

研究のポイント

  • 合成MRI(※1)という技術を使用して、広島大学病院脳神経内科へ入院された脳梗塞を発症して7日以内の患者さん(急性期脳梗塞患者)を対象に、脳のミエリン(※2)の量(以下、エミリン量と記載)を測定しました。
  • ミエリン量が多いほど、発症3ヵ月後の機能予後(※3)が良好となることが分かりました。
  • 急性期脳梗塞患者さんのミエリン量を測定することは、予後予測ならびにリハビリの目標を決めることに役立つ可能性があります。
  • 発表概要

  • 本研究では解析に必要なデータ収集ができた101例の急性期脳梗塞患者さんを対象とし、ミエリン量を測定しました。その結果、ミエリン量が多いほど、発症3ヵ月後の機能予後が良いことと関連することが判明しました。
  • 発表論文

  • 掲載誌:Stroke(2025年1月)
  • 論文タイトル:Usefulness of myelin quantification using synthetic MRI for predicting outcomes in patients with acute ischemic stroke
  • 著者:Megumi Toko1(都甲 めぐみ), Tomohisa Nezu1*(祢津 智久), Futoshi Eto2(江藤 太), Shiro Aoki1(青木 志郎), Tomohiko Ohshita3(大下 智彦), Hiroki Ueno2(上野 弘貴), Yuji Akiyama4(穐山 雄次), Hirofumi Maruyama1(丸山 博文)
    1 広島大学大学院医系科学研究科 脳神経内科学
    2 広島市立広島市民病院 脳神経内科
    3 呉医療センター中国がんセンター 脳神経内科
    4 広島大学病院 放射線部
    *責任著者
  • DOI: 10.1161/STROKEAHA.124.049851
  • URL:https://doi.org/10.1161/STROKEAHA.124.049851
  • 背景

  • 脳小血管病は急性期脳梗塞患者さんの予後に関連することが知られていますが、半定量的な評価方法が用いられており、定量的な指標がありません。
  • 脳小血管病にはミエリン量の減少も関わっていることが知られています。
  • 合成MRIという技術を用いることで、ミエリン量を測定することができます。
    ミエリン量は多発性硬化症などの脱髄疾患の評価に有用であることは報告されていますが、急性期脳梗塞患者さんでの評価はほとんどされていませんでした。
  • 研究成果の内容

  • 若年、男性、BMI高値であることが、ミエリン量高値と関連していました。
  • 脳小血管病の指標である、白質病変の程度とミエリン量は相関していることが分かりました。
  • 脳梗塞の大きさや、脳全体の大きさを加味しても、ミエリン量が増加するごとに、3ヵ月後の機能予後良好(modified Rankin Scale(※4)スコア2以下)である割合が2.54倍(95%信頼区間(※5):1.12-6.7)と関連がありました。
  • 3ヵ月後の機能予後良好となるミエリン量は121ml以上でした(8.35倍)。
  • ミエリン量は従来の脳小血管病の半定量的な指標と比べて、自動測定が可能であること、定量化ができることが強みです。
  • 今後の展開


    本研究成果により、急性期脳梗塞患者さんのミエリン量を測定することが、予後の予測に有用であることが示されました。この結果を脳梗塞後のリハビリテーションの目標設定に役立てることができ、さらなる機能低下を防ぎ、脳梗塞後の予後を改善することにつながる可能性があると考えています。

    参考資料


    A: 急性期脳梗塞病変 B:ミエリンの分布を示した画像

    用語解説

    合成MRI(※1):1回の撮影で画像の元となる定量値を取得し、任意のコントラスト強調像の生成や、脳容積の測定が可能な技術
    ミエリン(※2):神経細胞の軸索のまわりを包む膜構造、神経細胞や脳細胞ではなく、グリア細胞で形成される。主要成分は脂質、髄鞘(ずいしょう)とも呼ばれる
    機能予後(※3):ある疾患や創傷を治療した際の見通し(予後)のうち、後遺症に着目したもの

    modified Rankin Scale(※4):脳卒中患者の機能的転帰を評価するための尺度です。0(症状なし)から6(死亡)までの7段階で、患者さんの日常生活における自立度を測定します。
    95%信頼区間(※5):母集団の真の値が95%の確率で含まれると推定される範囲のことです。データのばらつきや標本サイズを考慮して計算され、推定値の精度を示す指標として用いられます。
    この研究成果は、日本学術振興会 科学研究費助成事業による支援と、広島大学から論文掲載料の助成を受けて得られたものです。
  • 報道発表資料(333.93 KB)
  • 掲載誌:Stroke(2025年1月)
  • 研究者ガイドブック(都甲 めぐみ 助教)
  • 研究者ガイドブック(祢津 智久 講師)
  • 研究者ガイドブック(青木 志郎 講師)
  • 研究者ガイドブック(丸山 博文 教授)
  • 問い合わせ先


     大学院医系科学研究科 脳神経内科学
     助教 都甲 めぐみ
     講師 祢津 智久
     Tel:082-257-5201 FAX:082-505-0490
     E-mail:mtoko*hiroshima-u.ac.jp
       tomonezu*hiroshima-u.ac.jp
     (*は半角@に置き換えてください)
     
    掲載日 : 2025年03月06日